札幌西高校文芸部活動日誌
西高文芸部員が気のみ気のまま付ける活動記録。個性溢れる文章で日々の活動を記録していければいいのだが、果たしていつまで続くのやら……
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リレー小説『Library』3 <秋永准>
りれしょ2 <高城>
図書館を出て家路を行く。広輝が私の少し前を歩いて、私は斜め後ろから彼を眺めていた。今日の広輝は何だか上機嫌だ。少し視線を降ろすと、彼の太ももくらいの所をその手が行き来している。ブラブラと左側だけ。右側は鞄を背負っているため塞がっている。私は自由に動いている左手を見て、自分の右手をグー、パー、グー、パー忙しなく動かした。握るべきか、放置すべきか。手は、繋ぎたい。でも、残念ながら私と彼とは理由なく手を繋ぐような仲ではない。グー、パー、グー、パー……私の右手はその形を定めかねていた。
と、突然彼の左手が動きを止めた。同時に、彼の歩みも止まる。私の目線も、彼の左手に集中していた。否、正確には左手に、ではない。その、上だ。広輝は自分の目の高さまでそっと左手を持ち上げていった。
「蝶だ」
呟いたのは、私。
「うん、蝶だね」
広輝もそれに相槌を打つ。
昔は蝶もよく見掛けたものだったけれど、最近はその機会が減ってきている。多分、空き地や荒れ地がマンションに変わった所為。
広輝の左手に止まった蝶は、黄色い羽を綺麗に二つ折にして身体を休めていた。パタリ、パタリと時折その羽が動く。ふと、小さい頃広輝と私で飼っていた揚羽蝶を思い出した。家が隣同士だった私達は、幼い頃からよく一緒に遊んでいた。その遊びの中には、夏場の虫獲りも含まれていて、揚羽蝶はその時に獲ったものだった。
「懐かしいね」
広輝が言う。「うん」と答える。広輝も、昔のことを思い出しているらしい。揚羽蝶は、当たり前だけど、もういない。あの頃の私達が一生懸命に世話をしていた蝶は、冬になる前に死んでしまった。
ふわりと、目の前の黄色い影が動く。「あ」と思わず声を上げる。黄色いその蝶は、彼の左手を離れてふわりと空に舞い上がった。ヒラリ、ヒラリとその羽を風に踊らせて、蝶は再び自然の中へと戻っていった。
広輝は何も無くなった左手を見詰めていた。
「紋黄蝶だったね」
「うん。紋黄蝶も、紋白蝶も……揚羽蝶も、見ないよね」
「うん」
住宅街の静けさが妙に辺りに染み付いていた。ちょっとだけ、昔を思い出してらしくもなく二人の間に湿った空気が流れた。居たたまれなくなって、私は態と大きな声で言った。
「それよりさ、早く帰って課題見せてよ! 広輝の写そうと思ってたから私まだ何もやってないんだから!」
「え、いや。ちょっとくらい自分でやれよ! ……っとに。しゃーねーなぁ七海は。いっつもそれだ」
「何よぅ! 一年の頃、家庭科の実技は殆ど私がやってやったじゃない」
会話が始まると、さっきまでのじめじめとした雰囲気は何処かにいってしまって、いつも通りの私達が其処にはいた。だけど、二人して各々の家に入るとき、一瞬だけ空を気にしてしまった私は、きっとかなり未練がましい女なのだ。蝶はいない。みんな、この町から離れていってしまった。もう、きっと彼等は戻って来ないのだろう。
広輝は昨日、告白された。
彼がどうするのか、私は知らない。蝶の行方も分からない。未来は分からない。明日も図書館で会って、一緒に帰るという日常を繰り返せるのか。私ははっきりと断定できない。昨日の告白事件が未来だった過去の私は、幼馴染みという関係に終わりが来るかもしれないなど、夢にも思わなかったのだから。
「またね」
「おう」
そして、私達は互いに自分の家に帰ったのだった。
by.高城 月
大会作品終わらんし
いやっほう!!!!
真っ白白白ふそそそそそそそそそそそそそそそそs(ry
いや、本当に冗談抜きにぴぎゃーです。でもって、主人公の設定の一部が数学科の某先生です。高城の中では既に主人公が某先生です。今日取材もどきしました。きゃーうっ! なんてロマンティックな馴れ初めですか! もうそれで一作小説書けますよぅ!
取り敢えず、某先生様の為にも作品頑張ります。
……今年は賞獲れるかな。うーん……無理、かな……。嗚呼、眠い……。
あ、そう言えば今回の部誌の編集は高城です。故に秋永氏が言っていたページ抜けたり目次ミスったりななつの犯人は高城です。すいませんです↓↓ でもって、今回のは大会部誌部門で提出する予定なので、編集直しは全て秋永氏に任せます。大会でないんだから、それくらい良いよね?f(^ω^)
ああ! っと、それから。
な、なんとですね。我が文芸部とイラスト部が合同部誌を出すことになりました!
あとがき
早苗さんと洸さんも僕と同じ被害者です。
犯人は……ゲホゲホッ!
ということで、せっかくなのでここで新たにあとがきを書いてみたいと思います。
秋永准という者です。読みは「アキナガ ジュン」です。……いやさすがにここまで再現しなくてもいいか。
今回は世の紙不足を考慮して、作品は三題小説一本にしました。冗談です。
前号のあとがきで書いた三十ページ越え感動の超大作は次回掲載です。半分冗談です。
三題小説は短さの割に時間をかけて書き上げました。なにせタイムトラベルものですから、つじつまが合わなければいけないわけですが、まあ、つじつまを合わせるといっても、時間遡航によって生じる矛盾などの問題は人間が勝手に想像したルールに従って解決しているわけですから、本当につじつまを合わせるのなら「時間遡航は不可能である」としなければ、現代の科学とは合致しないのです。
どういうことかといいますと、この話の掲載前の未修正バージョンの合評は矛盾があるだのないだのでそこそこ議論になったのです。特に的となったのが「誤って自分を殺した主人公が行方不明になるタイミング」です。掲載した修正バージョンは「その後、行方不明となった」という表現にとどめ、具体的にいつ消えたかは書かなかったのですが、未修正バージョンは「一年後、行方不明となった」と、具体的な時間を書いていました。
読んでいただいた方に訊きます。「一年後、行方不明となった」のは、矛盾していると思いますか?
以上がブログ上での「あとがき」です。
あとがきの外で、次回作の大まかな構想の候補を少し書いておきます。
こうすると後の自分にプレッシャーをかけられるのです。
・学校祭の群像劇。
・電車の中に自分一人しかいない話。
・脳内でβ-エンドルフィン(脳内麻薬の一つ)なんかを異常に分泌させるウイルスを蔓延させて、世の中の麻薬需要を拡大させようと画策する集団に立ち向かう男の話。(これは書かなさそう)
最後のだけ具体的に書きました。というのも最後のは三つの中でも一番書かなさそうな話だからです。
二つ目のも、思いついたときはすげえ面白そうとか自分で思ったのですが、最新号(97号)で彩花さんがこのネタとちょいと被る小説を書いたので、次号に載せると新鮮味にかけそうで、書くかどうかは迷っています。
一番有力なのは一つ目です。「学校祭の群像劇」とだけ書かれてもなあ、という感じでしょうが、まだ中身が確定していないので、これは仕方ないのです。
……普通の内容の記事は、書きあげるのも速かったりします。